相続とは

相続を正しく、トラブルなく進めるためには、相続制度の意味や仕組みを正しく理解しておく必要があります。
ここではまず、相続の基本を理解しておきましょう。
  • 相続とはどのような制度か

    相続とは、ご家族の中のある方が死亡した後、死亡した方の財産などの所有権を遺族(相続人)に移すことを言います。この財産は、必ずしもプラスの財産のみを指すわけではなく、マイナスの財産、つまり債務も相続する必要があります。この財産は、死亡した本人が生前に取得した大切な権利・責任であり、財産については遺族が取得する権利を有し、債務についても遺族が引き受ける責任があります。

    なお、相続には相続人がすべての財産と債務を相続する「単純承認」と、全ての相続財産を放棄する「相続放棄」、財産から債務を差し引きして残った財産のみを相続する「限定承認」の三種類の方法があります。相続財産の内容や相続人の人数等によって、どの方法を選択するべきかが異なります。

  • 相続人となる人

    死亡した人(被相続人)の遺族が財産を相続する権利を有しますが、すべての遺族が相続人となれるわけではありません。法律によって相続人となることを認められた「法定相続人」が財産を相続することができます。配偶者はいつでも相続人となり、そのほかの相続人については相続できる順位があります。子供は第一順位、親は第二順位、最後に兄弟姉妹が第三順位の相続人となります。
    順位 続柄
    無条件 配偶者
    1位 子供
    2位
    3位 兄弟姉妹

    遺言と遺留分について

    「遺言」という言葉は多くの人が耳にしたことがあるかと思います。死亡した人が生前に有する財産は、遺言書という書面によって、その財産がどのように分配されるかを決めることができるものです。(法定相続人以外の人への相続を行うことも可能です。)
    しかし、法定相続人は、法律によって「遺留分」という最低限認められた取り分があります。つまり、死亡した人がいくら遺言で財産の分配を指示していても、遺留分をもつ法定相続人は、遺留分によって最低限の相続財産が保障されるのです。
  • 相続の対象となるもの

    死亡した人が所有していた財産(現預金・不動産・動産・有価証券・ゴルフ会員権・保険契約など)は、相続の対象となります。もちろん、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあわせて相続の対象となります。

    しかし、相続といっても、すべての財産が相続の対象となるわけではありません。たとえば、ほとんど財産的価値のないと認められるものや祭祀財産(墓石・仏具など)は、相続の対象となりません。また、死亡した人の一身に専属するもの(養育費の支払義務や年金の受給権など、死亡した人のみに権利が帰属するもの)も相続の対象となりません。